2018.02.05

吉塚のまちのはなし『自他一如 、持ちつ持たれつのまちづくり』

吉塚1丁目で進行中のuniv PROJECT。いよいよ住宅部分の解体が始まりました。
2月下旬の完成予定。只今、募集準備中です。

22㎡の1Kをワンルームに、38㎡の2DKを1LDKに。ざっくりとしたアトリエのような空間にリノベーションします

さて、今回は、当マンションが建つ吉塚1丁目周辺の昔や今についてのお話です。
現地向いにあるビルの1階で営業するスイーツショップ「Poco a Poco/ポコアポコ」さん。こちらで地域のことをお聞きすると、まちづくりの活動をされている西林寺の副住職、安武義修さんの存在を教えていただきました。
という訳で早速、お話を伺いに西林寺さんにお邪魔しました!

副住職の安武義修さん。お忙しい中、にこやかに出迎えてくれました

>ポコアポコさんに紹介してもらいました
あそこのシフォンケーキ、美味しいですね。私たちも家族でお世話になっています。子供からお年寄りまで、まちの人たちが利用しているお店です。

>早速ですが、吉塚の歴史を教えてください。すぐ近くに吉塚商店街がありますが
私たちは市場と呼んでいるのですが、吉塚商店街は戦後に闇市から始まったと聞いています。最初は八百屋1軒に魚屋2軒から始まったそうです。私が小学校の頃はとても賑わっていて、時間帯によっては人とすれ違うのにも大変なくらいでした。あの「華味鳥」さんの創業の地も吉塚商店街の中にあります。

>平日のお昼過ぎに行ってみたのですが、多くのお店がお休みされていたような気がします
残念ながらお休みではなく日常の様子です(苦笑)。昔に比べるとずいぶん寂しくなったような。しかし商店街の方々はこの現状を打破しようと日々頑張っておられます。最近では旧銭湯にカンボジア料理屋さんがオープンしました。これから若い人や外国人も巻き込んで賑わっていけたらと、微力ながら私も応援させてもらっています。吉塚商店街の良さは一言でいえば人の温もり。あたたかさを感じられる場所ですね。一方駅側、吉塚本町はずいぶんと開発が進んで綺麗になりました。昔は映画館が営業しているような賑やかなまちだったそうです。炭鉱で栄えた筑豊エリアとの鉄道の終着点であったことが関係しているかもしれません。吉塚周辺には和菓子屋さんが多いことも炭鉱と関係があると、ご年配の方から聞いたことがあります。ちなみに博多を代表する「吉塚うなぎ屋」さんは吉塚本町が創業の地です。

歴史ある吉塚商店街。昔は活気があったが、今では空きテナントが見られる

>UNIV(吉塚1丁目)のあたりはどんな感じでしたか?
むつみビル(UNIVの旧物件名)のあたりにも、かつて小さな商店街のアーケードがあったと聞いています。基本的には町工場がたくさんあったエリアで、最近ではその跡がマンションに変わって住民の方が増えました。でも若い人たちが集うようなカフェやお店といったものがありません。そこで何かまちの活気に繋がればと、お寺で様々な活動を行なっています。

かつてアーケードのあった場所。今は片側が取り壊されて駐車場になっている

>ポコアポコさんにキャンドルナイトライブのことをお聞きしました
はい、それはカンボジアへのチャリティーイベントのことです。おかげさまで昨年10周年を迎えることが出来ました。58名のメンバーがいてボランティアで運営しています。

サイトで出演者を拝見したのですが、びっくりするようなアーティストが参加されていますね
毎年活動の趣旨に賛同してくださるアーティストにお越しいただいています本堂にキャンドルを灯して行うのですが、とても幻想的な雰囲気です。イベントの収益は経費以外の全てをカンボジアの支援先の学校や井戸建設費として直接寄付しています。その他にも、花まつり(お釈迦様の誕生祭)の時に境内を開放してお寺マルシェを行ったり、新緑の季節には落語会、夏には子ども達のワークショップなど、地域に開かれたお寺づくりを行なっています

>ボランティアということで、大変ではないですか?
ボランティアと言っても、西洋でいう「犠牲心」や「奉仕の精神」といった意味合いの強いものではなく、単純に我々自身が楽しみながら無理をせずに活動しているので、きついと感じることはありません。その根底には「自他一如(じたいちにょ)」という仏教の考え方があります。『私のいのちは、多くのご縁の中で生かされているいのちである』という観念です。日本では「ボランティア」という言葉が言われる前から「おすそ分け」や「持ちつ持たれつ」、「お互いさま」などといった仏教的精神が息づく言葉があります。私たちの活動もまた、ボランティアというよりは「困った時はお互いさま」の活動だと思っています。

>さきほどキャンドルナイトライブはカンボジアへのチャリティーだとお聞きしましたが、そのきっかけは?
私は小学校~大学まで剣道一筋の人生でした。その反動もあって卒業後、外の世界を見てみたいとバックパッカーで世界中を旅しました。その中で訪れた国の一つがカンボジアです。国民の97%が仏教徒という国。生活に仏教が溶け込んでいて沢山の学びがありました。それと同時に貧困の現実や過去の内戦のことを知り愕然としました。もちろん内戦のことは知識としてあったのですが、実際に現地で見聞したことは想像を遥かに越えるものでした。しかもその時期が私の生まれた1976年からの3年間だったのです。私が生まれた年に内戦が始まったという事実に深く考えさせられ、何か出来ることはないかと思ったことがきっかけです。

>市場に不思議なカンボジア料理店がありましたが
シェムリアップというお店です。以前は馬出で営業されていたのですが、昨年末に吉塚商店街に移転オープンされました。カンボジア人の店主に吉塚でのお店探しの相談を受けて一緒に不動産屋さんをまわったこともあります。しかし飲食店利用の出来るテナントがなかなか無く・・・その中でOKをいただいたのがまさかの元銭湯(笑)。私も小さい頃から通っていたお風呂屋さんの跡でした。20年ぶりに中へ入ってみると当時のままの空間に胸がキューンとなりました。既存を活かしてお店をつくられているので、かなり不思議な感じだったでしょう(笑)。

吉塚周辺には外国人の日本語学校が3校あり、まちには多くの外国人留学生が住んでいます。シェムリアップが今後、そんな彼らの拠点の一つになればいいなと思っています。
以前、日本語学校の先生から「外国人留学生達は、日本の文化や言葉を学びに来ているのに、実際に日本人と接する機会があまりにも少ない」と、そんな悩みを伺いました。そこで吉塚商店街と外国人留学生の接点をつくれないかと、現在商店街連合組合に呼びかけています。まさに古き良き日本の大衆文化が残る吉塚商店街で外国人留学生達との交流が始まれば、いろんな意味で相乗効果や化学反応が発生するのではと思うのです。

>イベントをしたり相談を受けたり、本当に色々と活動されていますね
お寺は本来、地域交流の場や文化芸術の発信地でもありました。また様々な相談事が持ち込まれたり情報交換の場でもありました。そんなお寺本来の姿を今に活かし、仏教のみ教えを拠りどころとした活動をこれからも行なっていきたいです。その結果がまちづくりに繋がるのであれば、こんなに嬉しいことはありません。

>お寺はメディアのようでもありますね
そうですね。メディアといえば、このまちで飲食や物販等を始められる方がいらっしゃったら、4月の西林寺はなまつり「お寺マルシェ」に参加されてはどうでしょう?小さな子どもからお年寄りの方まで地域の皆さんが大勢集まるので、出店をまちの人たちに知ってもらう良い機会になると思います。

>最後に今、吉塚のまちに欲しいものは何ですか?
地元の若い人たちの声ではカフェとパン屋さんが圧倒的ですね。若者や子連れのママさんたちが気軽に集まれる場所。そんな良いお店でしたら私や友人たちは毎日通うと思います(笑)。

2018年1月 西林寺にて

 


安武さんがお寺で様々な活動を始めてから今年で11年目。そして昨年より市場の会合にも参加されているとのこと。その成果が表れ、ここ最近、吉塚のまちでは若者と年配の方たちとの繋がりが出来、協力体制が進んでいます。そこにアジアからの学生さんたちが加わっていけば、他では見られない面白い展開になっていくはず!今後の安武さんと吉塚のまちの動きから目が離せません。

松光山西林寺
福岡市博多区吉塚1丁目25−2
電話:092-621-4424
HP:http://sairinji.org/


※プロジェクトの募集情報等は→ univ PROJECTでご覧いただけます!